夜、職員室の灯りが少なくなってきたころ。
まだ自分のクラスのノート指導や連絡帳のチェックが終わらず、ふとスマホで「学級経営 担任 上手」と検索してしまう…。
そんなときに、ふと頭に浮かぶのが『ハイキュー!!』のような、自分で動くチームではないでしょうか。
「うちのクラスも、あんなふうに生徒が自分から動いてくれたら…」
この記事では、『ハイキュー!!』×自分で動くクラスというテーマで、アニメの世界観をヒントにしつつ、現実の学校でできる具体的な学級経営の工夫をまとめました。
『ハイキュー!!』と学級経営|なぜ教員の心に刺さるのか
まずは、「なぜ『ハイキュー!!』がこんなに教師の心をつかむのか」を整理してみます。
ここを押さえると、「アニメを見る視点」そのものが、学級経営の教材に変わっていきます。
「ただのスポーツアニメ」じゃないと感じる理由
『ハイキュー!!』は、一見すると「高校バレーの試合を描いた熱いアニメ」です。
しかし多くの先生が惹かれるのは、スパイクやブロックの迫力だけではありません。むしろ、
部員同士の関係性の変化や、チームがまとまっていくプロセスに、学級経営との共通点を感じるからです。
・最初はバラバラだったメンバーが、少しずつお互いを認め合っていくこと。
・不器用なキャプテンや、うまく言葉にできないメンバーが、それでもチームのために動こうとすること。
・失敗や敗北を「成長の材料」として受け止める空気が育っていくこと。
これらはすべて、教室でも起こしていきたい変化そのものです。
バレー部のチームづくりと学級経営の共通点
『ハイキュー!!』のチームは、監督やコーチがすべてを管理しているわけではありません。
部員同士の会話や、ささいな一言、試合後の振り返りなどを通して、少しずつ「自分で動く集団」に変わっていきます。
これはそのまま、学級経営の理想像に重なります。
担任が毎時間「静かにしなさい」と言わなくても、
・時間になったらノートを開く
・困っている友達に声をかける
・係同士で相談しながら仕事を進める
そんなクラスに育ってほしいと、どの先生も願っています。
ハイキューの「先生ポジション」から見えること
『ハイキュー!!』には、監督やコーチ、顧問の先生など、「大人側の視点」もさりげなく描かれます。
彼らは、常に前面に出て怒鳴り散らしているわけではありません。必要なときにだけ、短い言葉を投げかけたり、
あえて見守ったりしながら、生徒たちの「自主性の芽」をつぶさない関わり方をしているのが特徴です。
学級経営でも同じで、担任がどこまで前に出て、どこから引くのかが、自分で動くクラスづくりの鍵になります。
そのバランス感覚を、ハイキューの世界から学ぶことができるのです。
SECTION 1|要点まとめ
- 『ハイキュー!!』はチームの成長物語として「学級経営」と重なる部分が多い
- 自分で動くチーム=自分で動くクラスのイメージづくりに役立つ
- 監督・コーチの「引きながら支える姿勢」は担任の参考になる
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自分で動くクラスとは?『ハイキュー!!』に学ぶチーム像
「自分で動くクラス」と聞くと、
「勝手にどんどん勉強してくれるクラス」「全員が意識高いクラス」を想像しがちです。
でも実は、もっと素朴で、現実的な姿から始まります。
自分で動くチームの3つの条件
『ハイキュー!!』のチームを見ていると、自分で動く集団の条件が見えてきます。
- みんなで目指す「わかりやすいゴール」がある(大会、試合、目標)
- 一人ひとりに「自分の役割」がある(エース、リベロ、マネージャーなど)
- 失敗を責めるより「どうする?」と考える空気がある
学級経営でも同じで、
「このクラスで、年度末にどんな状態を目指すのか」
「そのために、あなたは何を担うのか」
が共有されているほど、生徒は自分から動きやすくなります。
目立たない生徒がチームを支えている描写に注目
『ハイキュー!!』では、試合中に派手なプレーをするキャラだけでなく、
ベンチで支える人、地味だけれどミスを減らす人、メモを取りながら分析する人など、表に出ない貢献が丁寧に描かれます。
クラスにも、「前に出るタイプではないけれど、空気を和ませてくれる」「黙々と黒板消しをしてくれる」生徒が必ずいます。
そうした存在に光を当て、「こういう支えがあるから、クラスが回っているよ」と言語化してあげると、
“自分はいてもいなくても同じ”と感じていた子が、自分から動き始めるきっかけになります。
「できない子」も役割を持つときクラスは変わる
ハイキューの中では、最初から完璧な選手はほとんどいません。
できないことが多いからこそ、練習メニューが工夫されたり、役割分担が調整されたりします。
学級経営でも、「あの子には任せられない」と最初から外してしまうと、
その子はますます「自分で動くクラス」から置き去りになってしまいます。
逆に、失敗しても大丈夫な小さな役割から一緒に考えることで、その子の自己肯定感とクラスへの所属感が育っていきます。
SECTION 2|要点まとめ
- 自分で動くクラスには「ゴール・役割・安心して失敗できる空気」が必要
- 目立たない生徒の貢献に光を当てることが、クラスの自走力を高める
- 「できない子」にも、失敗OKの小さな役割を一緒に設計する
担任のひとことコラム
「自分で動くクラス」と聞くと、すごく特別なクラスを想像してしまいます。
でも実際には、「黒板消しを任せる」「話し合いの司会を託す」といった、ごく小さな一歩の積み重ねです。
ハイキューのような劇的な変化は、そんな“地味な一歩”の連続から生まれています。
担任が「手放す」から始まる学級経営|指示ゼロにはしない工夫
「任せるのが大事」と頭では分かっていても、
「放っておいたら絶対に崩れる」「結局、最後は自分がやるはめになる」と感じてしまう…。
そんな若手担任にとって、“手放す”は怖い挑戦です。
先生が全部決める学級経営の限界
先生が指示を出し続けていると、短期的にはクラスがまとまっているように見えます。
しかし長期的には、次のような限界が見えてきます。
- 先生がいないと動けない「依存型のクラス」になりやすい
- 生徒同士で支え合う力が育ちにくい
- 担任のメンタル負担がどんどん大きくなる
ハイキューの監督やコーチが、すべてを指示していないように、
学級経営でも、「生徒に任せる部分」と「先生が決める部分」を分けることが大切です。
あえて口を出さないシーンをつくる
いきなり全部を任せるのはリスクが高いので、
まずは「この10分だけは、生徒に任せる」という時間をつくるのがおすすめです。
例えば、
・係会議の10分間は、先生はホワイトボードの前でメモ係に徹する
・HRの「クラスの困りごと会議」は、司会と書記を生徒に任せる
といった形です。
ハイキューでも、選手だけで作戦を話し合う場面がありますが、
あれと同じように、「先生は一歩引いて見守る」という構図を意識してみましょう。
「任せ方」が下手でも大丈夫な小さな仕組み
「任せるのが苦手…」という先生でも、仕組みでカバーできます。例えば、次のような工夫です。
- 係ごとに「今日やること」をカードにしておき、生徒が自分でチェックできるようにする
- 「先生が手を出すのはここまで」と自分でラインを決めておく(例:最終確認だけ)
- うまく任せられなかった日も、「今日はここまでできた」と自己評価してみる
完璧な任せ方を目指すのではなく、「昨日より1センチ任せる範囲を広げる」くらいの感覚で十分です。
SECTION 3|要点まとめ
- 先生が全部決める学級経営には、依存と疲弊という限界がある
- まずは10分だけ「あえて口を出さない時間」をつくってみる
- 完璧を求めず、「昨日より1センチ任せる」を積み重ねる
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この記事のポイントを、忙しい先生でもサッと見返せる1枚PDFに整理しました。
HR前や学年会の前にチェックしておくと、「今日はここだけ意識しよう」と決めやすくなります。
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生徒指導を“叱る”から“支える”へ|先生のメンタルを守る視点
自分で動くクラスを目指すとき、避けて通れないのが生徒指導です。
ただ厳しくするだけでも、甘くするだけでも、うまくいきません。
そして何より、先生自身のメンタルが消耗してしまいます。
ハイキューのキャラに見る「叱らない指導」
『ハイキュー!!』では、感情的に怒鳴りつける場面は意外と多くありません。
代わりに、「今のプレーで何が起きたか」「このままで本当に勝てるのか」と、現実を静かに突きつける言葉が印象的です。
学級経営でも、
「なんでちゃんとしないの!」ではなく、
「今のままだと、このクラスはどうなると思う?」
と問いかけることで、生徒自身に考えさせる生徒指導に変えていけます。
問題行動の裏側にある“物語”を想像する
ハイキューのキャラクターたちは、それぞれの過去やコンプレックス、事情を抱えています。
その背景を知ったとき、視聴者は「ただの問題児ではなかったんだ」と感じるはずです。
現実の教室でも、遅刻や私語、反抗的な態度の裏側には、
家庭の事情や友人関係の葛藤、自己肯定感の低さなど、さまざまな要因が隠れています。
全部を把握することはできなくても、
「この子にも、この子なりの物語があるはずだ」と想像して関わるだけで、言葉の選び方は変わってきます。
先生自身が燃え尽きないためのセルフケア
生徒指導に全力を注ぎ続けると、どうしても心がすり減ります。
自分で動くクラスづくりには時間がかかるので、先生のメンタルを守る工夫も同時に必要です。
- 「今日うまくいったこと」を1つだけメモする(失敗より、できたことに目を向ける)
- 信頼できる同僚や先輩に、月1回だけでも「吐き出す日」をつくる
- 放課後の残業前に、5分だけ深呼吸とストレッチの時間を入れる
『ハイキュー!!』のキャラが、失敗しても何度も立ち上がるように、
先生自身の心のガソリンも、意識して補給してあげてください。
SECTION 4|要点まとめ
- 「叱る」より「現実を一緒に見る」生徒指導が、自分で動くクラスを育てる
- 問題行動の裏には、その子なりの“物語”があると想像して関わる
- 先生自身のメンタルケアを、「仕事のうち」としてスケジュールに入れる
明日からできる『ハイキュー!!式』自分で動くクラスづくり5ステップ
ここからは、「理想はわかったけど、明日から何をすればいいの?」という問いに答えるパートです。
完璧を目指さず、5つのステップのうち、できそうなところから1つだけ選ぶところから始めてみてください。
STEP1:チームの「合言葉」を決める
ハイキューのチームには、それぞれのスタイルや合言葉のようなものがあります。
クラスでも、「自分で動くクラス」を象徴する一言を決めると、行動の軸になります。
例としては、
・「まず自分たちでやってみる」
・「困っている人を一人にしない」
・「失敗はチャレンジの証」
など。HRで生徒と一緒に案を出し、決まったら黒板や教室掲示に書いておきましょう。
STEP2:生徒が回すミーティングの型をつくる
自分で動くクラスには、「話し合う場の型」が必要です。
いきなり自由に話させるのではなく、簡単な流れを決めておきます。
例:クラスミーティングの基本型
- 司会「今日のテーマの確認」
- 全員で「事実」を出す(良かったこと/困っていること)
- 「じゃあ、どうしたい?」とアイデア出し
- 次の1週間だけ試すことを1つに絞る
先生は最初だけサポートし、慣れてきたら少しずつ後ろに下がっていきます。
STEP3:役割分担を“レギュラー以外”から考える
ハイキューには、エース以外にも、控え選手、マネージャー、分析役など、多様な役割があります。
クラスの係や当番活動も、同じ発想で見直してみましょう。
例えば、
・「連絡係」「掲示係」だけでなく、「ほめ言葉係」「困りごと相談係」など、サポート系の役割を増やす
・運動が苦手な子は、体育委員の「記録係」や「準備係」として活躍できるようにする
など、多様な貢献の形を用意することで、「自分は何もできない」と感じる生徒を減らせます。
STEP4:うまくいかない日を「振り返りのチャンス」に変える
自分で動くクラスを目指しても、もちろんうまくいかない日もあります。
ハイキューでも、敗戦や失敗をきっかけに、チームは次のステージに進んでいきました。
クラスでも、
「今日のHR、ちょっとざわざわしてたね。なにがあったんだろう?」
と、責めるのではなく“一緒に振り返る時間”をつくることで、
生徒は「次はこうしよう」と自分から言い始めます。
STEP5:担任もチームの一員として弱さを見せる
ハイキューの大人たちも、完璧ではありません。
迷ったり、悩んだりしながら、それでも生徒を信じ続けます。
クラスでも、ときには、
「先生も、みんなのことを信じたいけど、正直ちょっと不安になるときがあるんだ」
と、自分の本音を少しだけ見せることで、
生徒は「じゃあ、先生を安心させたい」と動き出すことがあります。
SECTION 5|要点まとめ
- 合言葉づくり・ミーティングの型・多様な役割で「自分で動く」土台をつくる
- うまくいかない日こそ、クラスで振り返るチャンスに変える
- 担任も完璧をやめ、弱さを少し見せることで、生徒の自走力が引き出される
一人で抱え込まない学級経営へ|無料PDFと1on1サポートのご案内
もしあなたが今、
「本当は自分で動くクラスにしたいけれど、どこから手をつければいいか分からない」
「やってみても、失敗するのが怖い」
と感じているなら、一人で全部抱え込む必要はありません。
記録しながら進める「学級経営ノート」無料PDF
記事内で紹介した内容をもとに、
・クラスの合言葉を書くページ
・係・役割を整理するページ
・「できたこと」を記録するページ
をまとめた簡易版の学級経営ノートPDFを用意しています。
印刷して職員室に置いておくだけで、夜の自分を少し助けてくれるはずです。
クラスの状況に合わせた個別相談(1on1)のイメージ
また、「自分のクラスの状況に合わせて相談したい」という先生向けに、1on1の個別サポートも行っています。
具体的には、オンラインでクラスの様子を伺いながら、
- 生徒指導・学級経営の「今一番のボトルネック」を一緒に整理する
- 『ハイキュー!!』のようなチームづくりを、あなたの学校の現実に合わせて翻訳する
- 次の1週間で試す「具体的アクションプラン」を一緒に決める
「この記事だけで抱え込まなくていい」というメッセージ
この記事をここまで読んでくださった時点で、あなたはもう十分に「良い先生」です。
それでも、学校現場は一人で戦っているように感じてしまうことがあります。
もし、少しでも
「誰かと一緒に整理したい」
「自分で動くクラスへの一歩を、一緒に決めてほしい」
と感じたら、1on1相談のページも、そっとのぞいてみてください。
自分で動くクラスづくりを、ひとりで抱え込まないで。
「クラスを好きでいたいのに、毎日しんどい」
「ハイキューのようなチームに憧れるけれど、現実とのギャップに苦しくなる」
そんな先生と一緒に、あなたの学校に合った学級経営の形を探していきます。
『ハイキュー!!』に描かれるのは、最初から完璧なチームではなく、
何度も転びながら、それでも前に進もうとする、不器用でまっすぐな人たちの姿です。
教室も同じで、今日いきなり理想の「自分で動くクラス」になる必要はありません。
明日、たったひとつの言葉を変える。
ひとつの役割を、生徒に託してみる。
その小さな一歩が、数か月後のクラスを確実に変えていきます。
ハイキューのキャラクターたちがそうであったように、
あなたのクラスにも、まだ眠っている力がたくさんあります。
それを信じて、一緒にゆっくり育てていきましょう。